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  • グッドニュース新聞編集部

ありがとう

 86歳でこの世を去った父の25回目の御命日を迎えた。

 家内とふたりで読経を執り行い、父の写真を見つめるうち、その生涯が私の脳裏に浮かんできた。

 田舎で生まれた父は、名古屋へ奉公に出た後、暖簾(のれん)分けで独立した。商売が安定したのも束の間、第二次世界大戦でやむなく故郷へ疎開。老後は孫に囲まれながら、ゆっくりとした時間の流れのなかで過ごした。

 いつもニコニコと笑いながら、自然に感謝、人びとに感謝と話していた。常に「ありがとう」が口癖の父だった。

 晩年はガンを患い、認知症も発症。本人の願いもあって、術後1年ほどは寝たきりの状態だったが、自宅で療養を続け、そのまま終焉を迎えた。

 私がだれか、家内がだれかもわからない様子だったにもかかわらず、世話をするたびに、ありがとう、ありがとうと感謝を口にしていた。最後の3カ月は、「ありがとう」の言葉しか聞かなかった。世話をするのに大変だったはずの家内は、「あの一言で疲れも何もかも吹っ飛んで、世話をするのも苦にならなかった」と言ってくれた。

 私もやがて訪れる晩年のために、「ありがとう」を言えるように修行しなければ!


(三重県・自営業・田舎の爺さん・68歳)


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