
グッドニュース新聞編集部
ある保育園の話 〜地域とのふれあいを大切に
近所の保育園が年に一度、「ふれあいまつり」というイベントを開催します。毎年、そこで催される作品展に切り絵を出展していた女性が、脳梗塞を患い、体の自由が利かない状態となりました。
保育園の職員さんが、例年通りに切り絵を出展してほしいとお願いしたところ、「体の自由が利かないし、自分はなんの役にも立たないから」といったんは断わられたそうです。それでも、園の職員さんが女性の家まで出向き、切り絵の作品を運びだす支援を申し出たところ、めでたく出展の運びとなりました。
イベント当日、女性は両脇を抱えられて「ふれあいまつり」に参加し、その際、涙を流して感謝の気持ちを述べておられました。
また、おなじ保育園の近所に住んでいる別の男性の話です。
その男性は定年後、旅行をしながら旅先で写真を撮るのが生き甲斐でした。
病気を機に足が不自由となり、外出を避けるようになりましたが、やがて新たな生きがいを見つけました。「ふれあいまつり」の様子をカメラに収めることです。男性は再び写真を撮る喜びを取り戻し、1年に一回のイベント開催を心待ちにしています。
もともと、この保育園は公立でした。ところが、市の方針で民営化が決まり、そこで働いていた人たちは職を失うこととなりました。新しく経営することになった私立保育園は、そこで働いていた人たちに、「引きつづきこの園で働かないか」と打診したそうです。手を差し伸べられた職員の何人かは、新たに契約をむすび、いまでも地域の貴重な存在として働いています。
地域とのふれあいを大切にするこの保育園が、成り立ちからずっと人を大切にしてきたことがおわかりいただけたかと思います。そこに通っているわが息子はとても幸運です。
(神奈川県・公務員・マサル・36歳)
