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だいじょうぶ?

 地元の親友からメッセージが来た。

《だいじょうぶか》という短い一文だったが、上京している僕を心配した不器用な友人からのそのひと言は、新型コロナウイルスに関する報道やネット記事のネガティブさを打ち払ってくれるだけの、力があった。

《だいじょうぶ》とだけ入力した画面で、ちょっと止めた。自粛中で時間だけはあり余っていたので、話し相手がほしかったこともある。会話をつづけてみよう、と思った。人と話せることは、たぶん、とても幸せなことだから……。

 再び返信がきて、彼の近況と、地域の様子がつらつらと書かれていた。田舎も、やはり否応なく時代のゆれの影響を受けているようだった。

 最後の一文には、《先月から母親の持病が悪化し、入院しているが、このご時世ということもあって、あまりお見舞いにいけていない》と書かれていた。僕は思わず《だいじょうぶか》とだけ送信した。すぐに《だいじょうぶ》と返信がきた。入院先は、病室内にスマホを持ち込んでもいい病院で、日々連絡をとり合っているとのことだった。

《先週から快方に向かっている。元気になって、メッセージが多くてメンドーでもある》

 親友の、困ったようなあの笑顔が目に浮かんだ。

 そのあと、いろいろと話をして、またいつか遊ぼうと言い合って、会話を終わらせた。

 メッセージアプリを閉じたときの名残惜しさは、昔、彼の家からの帰り道で感じたそれと、よく似ていた。田んぼの匂い。きれいなオレンジ色に染まった空。ザリガニの棲む小川。それらはいつか僕が帰ったら見られる景色。けれど、それは、世の中が「だいじょうぶ」になるまでの、お楽しみだ。


(世田谷区・学生・現在人間形・19歳)


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