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  • グッドニュース新聞編集部

ビル街で見つけた救いの笑顔

 東京都心の超高層ビル街。取引先が何件かあるので毎週のように通っていますが、近代的で巨大なビルが多いためか、訪問前はいつも緊張してしまいます。

 そんなビルの一つの受付に、その女性はいました。200坪はあるだろう、だだっ広い無味乾燥なフロア。彼女はその片隅に制服姿で一人座っていました。

 ストレートのロングヘア、純和風のおとなしそうな顔立ち。年の頃は30代前半でしょうか。私も何度か見かけたことはありましたが、話したことは一度もありませんでした。

 そんなある日、受付嬢がずっと「ある動作」を繰り返していることに気付きました。「何をしているんだろう」と思って、しばらく見ていると、彼女はビルに出入りしている人全員を一人ひとり見ながら、笑顔で会釈しているのです。それも、穏やかで静かに見守るような、優しい笑顔。観音菩薩のような笑顔と言ったらおおげさでしょうか。

 私はその姿と笑顔を見ているうちに、取引先との交渉前の緊張がどんどんほどけていくのを感じました。

 当然ですが、ビルを訪れる人のほとんどは会釈を返すどころか、彼女を見もしません。これまでの私もそうだったのでしょう。しかし、彼女はそれでも笑顔と会釈を送り続けていたのです。そのことに気付いた私は、その後、受付嬢に会釈だけはするようになりました。

 どういう気持ちで彼女がその行為を繰り返しているのか、残念ながら聞き出せてはいません。

 しかし、笑顔は人を勇気づける。癒してくれる。幸せにしてくれる。私はその受付嬢を見るたびにいつも、そう感じています。


(東京都・おーさん・会社員・56歳)


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