
グッドニュース新聞編集部
心の一歩で世界は変わる
新型コロナ騒ぎで、「もっと離れなさい」「距離をとりなさい」なんて言われていますが、心の一歩を踏みだす大切さについてお話しさせてください。
通勤途中でしばしば見かける素敵な方。近所のお店でよく出会うきれいな人。遠くで見ているだけで、日常に張り合いが生まれますよね。
もし一歩を踏みだせたら、もっと幸せな気持ちになれると思うのに、そのたった一歩が前に出ない。あるいは出ないまま一生を終えてしまう人だって、けっこうざらではないでしょうか。思えば、私も、そんなふうにあきらめてばかりの人間でした。
でも、つい最近、近くのコンビニで買いものをしていたとき、ある人に目が止まりました。いつも界隈でお見かけする素敵な方でした。ちょうど、自分も買おうとしていたドリンクの前だったので、反射的に心の一歩を踏みだし、勇気をふりしぼって声をかけました。
「これ、美味しいですよね」
自分で自分に驚き、鼓動が高鳴るのを感じました。その方も少し驚いていましたが、「そうですよね。こっちと迷っているんです、どちらも好きなので」と気さくに答えてくれました。さらなる勇気を、と自らに期待しましたが、今回はここまでが限界のようでした。
「よくわかります。私もいつも迷うので」
そう言うのが精いっぱいで、そそくさとその場を離れましたが、その日は、昨日とは違う今日、いつもよりずっと素晴らしい今日となりました。
たった一歩――。
世界の景色なんて、たった一歩を踏みだす勇気でがらりと変わるのかもしれません。この時節柄、なかなか実際には近づけなくても、心の一歩は踏みだせる。人どうしの心と心の距離まで離す必要はないんだと、私はそう思います。
(東京都・会社員・おーちゃん・41歳)