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  • グッドニュース新聞編集部

旅と、お酒と カンボジア編

《想いをつなぐ鉛筆》

「海外奉仕活動、行けることになったよ!」

 地元のホルモン屋で、友人と少し早めの忘年会をしていたときのことだ。毎年、会社で募集される海外奉仕活動への参加に申し込んでは、そのたびに抽選で外れる、という話は聞いていたので、なんのことかはすぐに察しがついた。

「ついにカンボジアで井戸掘りだね!」

 旅の話に目がない私は、美味しいホルモンとお酒とで饒舌になり、いつしか話題は、8年前にベトナム、カンボジアを周遊した際の出来事におよんだ。

 当時はまだ旅慣れしておらず、友人の提案で決めた旅だった。空港に着くと、トゥクトゥク(三輪タクシー)のドライバーが数人、私たちを呼び止めてきた。黄緑色の可愛いトゥクトゥクに決めると、1日券での川下り見学を勧められた。

 現地感を求める私たちの要望に、ドライバーさんが応えてくれたおかげで、船には貸切で乗れることになった。目を輝かせた16歳ほどの少年ガイドが、カンボジア訛りの英語で案内してくれた。

 船の進む先に、やがてバスケットゴールが見えた。〝あれは小学校なんだけど、あそこの子どもたちの鉛筆を買ってくれない? 〞と少年ガイドに懇願され、鉛筆が買えるという小さな建物に寄った。

 薄いコンクリートづくりの工場めいた建物のなかで、ガイドの子と近しい歳の少年たちが退屈そうに寝転んでいた。テーブルの上には、日焼けで色あせた鉛筆が並び、手書きの画用紙に値段が書かれていた。

 〝高っ! 鉛筆10本600円って……〞

 私がそう驚くと、少年ガイドは気を悪くし、〝タカクナイヨ!〞と言い放った。きっとここの子どもたちとは仲良しなのだろう。結局、何も買わずにその場を離れたが、少年ガイドにはこう約束した。

〝ここの鉛筆は高いので買うことはできないけれど、いつか日本からいっぱい鉛筆を持ってくるよ〞

 いまだ果たせていない約束だった。「そう話したときの少年ガイドの、なんとも複雑な笑顔が忘れられない」と私は言った。するとカンボジアに行く友人が、「代わりに鉛筆を持っていくよ」と意気込んだ。

 酔いの席でのことと半信半疑だったが、後日尋ねると、「いっぱい持っていったよ! みんなスゴく喜んでくれた!」とのことだった。私の想いをつないでくれた友人に、心から感謝している。想いつづけること、そして伝えることが大切なのだ。


(東員町・Wine@憩 ソムリエール・山口亜矢・37歳)


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