- グッドニュース新聞編集部
海苔の香りが苦手? ~文化の違いを超えて~
娘は小学校2年生の頃、私の海外赴任に同行しました。アメリカに行くというワクワクと友だちから離れる寂しさで、複雑な心境だったと思います。
海外子女の受け入れをきちんとしている地域で、学校ごとにサポート言語が割り振られ、小学校に日本語サポートがいる、ありがたい環境で楽しく過ごしてました。ところが、サポートから卒業し、近所に転校した頃、事件は起こりました。
小学校はお弁当持参です。アメリカの小学校のお弁当というと、ハムサンドやピザにフルーツと決まっていました。娘も普段はそうだったのですが、お腹が空くからお昼におにぎりが食べたいと言いだし、それならと妻も喜んでお米を握り、海苔もつけて持たせたのですが、その日、帰ってくるなり大泣きしたそうです。
聞いてみると、給食の時間、楽しみにしていたおにぎりを食べようとしたら、隣の仲良しの子に“STINKY!!”くさいっ!! と叫ばれたのです。
そう、日本の海苔の香りは、内陸育ちのアメリカ人にとっては、今まで嗅いだことのない、単なるくさい匂いでしかなかったのです。泣く泣く袋を閉じた娘を見て先生は、「こっちにおいで」とやさしく声をかけてくださり、他の人の臭わない場所で食べさせてくれたそうです。
STINKYと叫んでしまった子も、悪気はなかったようで、後日、深刻な顔をして家まで謝りに来ました。もちろんその子とはちゃんと仲直りして、残りの学校生活を楽しく過ごしました。
文化の差ってありますが、その差を良し悪しではなく、単なる違いとして受け止められる社会って良いなと思いました。日本も、世界も、そうなりたいです。
(東京都・会社員・ロビン・53歳)