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  • グッドニュース新聞編集部

田舎に学ぶ

 大学時代の友人Gに招待され、東京から高速バスに揺られること2時間半。到着したのは、山梨県南都留郡は忍野村だ。忍野八海の湧水や、富士山が日本一きれいにみえることなどで知られる、風光明媚な地である。

 到着した私を出迎えてくれたのは、20代前半とおぼしき強面の男性だった。「HALさんっすね。話はきいてるっす」外見に気圧されている私に、彼は続けた。「Gの高校時代の悪友のTっす。いつもGと仲良くしてくれてるみたいで。田舎者が何か失礼なことしてないっすか?」そう心配するTの表情は、まるでGの母親かのようだった。

 Tの運転する車に乗りこみ、約半時ほどでGの実家に到着。するとTは、「じゃあ、俺帰るわ。また帰りに迎えにくるから」とだけ伝え、早々に去っていった。なぜ帰ったのか不思議に思い、Gに尋ねたところ、Tは、私が東京から訪ねてくることを聞きつけるや、貴重な休日にもかかわらず、自らタクシー役を買って出てくれたのだという。ただ送り迎えするためだけに、わざわざ出向いてくれたのだ。

 その後も、Tの実家やそのご近所さんが、カゴいっぱいに採れたての野菜や果物を持ってきてくれるなど、手厚いもてなしが続いた。聞けば、今回の旅には、Gの実家が営む床屋のお客さんまでもが協力してくれたそうだ。

 驚く私に、Gは誇らしげに言った。「田舎はこんなもんだよ。何かあると、ご近所さんがすぐ助けに来る」

 東京人は冷たい、なんて言葉をよく耳にする。東京人の私は、その意見を甚だ心外だと思っていた。しかし、圧倒的な田舎のあたたかさにふれ、考えが少し変わった。なるほど確かに東京人は冷たいのかもしれない。インターネットが普及し、近所づき合いが希薄になりがちな現代だからこそ、ご近所さんとの関わり方を田舎に学ぶべきなのかもしれない。


(東京都・学生・HAL・26歳)


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