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  • グッドニュース新聞編集部

私には、社会を変えられない

「もうダメだ」何度嘆いたか、わからない。職場は、例のウイルスのせいで、大繁忙期を迎えていた。私は、スーパーの夜間責任者をしている。仕事内容は、入荷してきた商品を店に並べるというもので、だれにでもできるような、簡単なものだ。

 普段なら、閉店の2時間前には作業が終わるのだが、2月末から風向きが変わった。客が毎日なだれ込み、95〜110%を前後していた前年売上比は、150〜200%に跳ねあがった。通常の倍以上の商品が入荷してくる毎日。感染者が1日で100人を越えた瞬間、完全にパニックになった。鳴りやまない電話、途絶えない客足、怒号、謝罪、そして緊急事態宣言――。

「もうダメだ」バカのように山積みにされた入荷品を前に、何度も嘆いた。そんななか、休校になった学生バイトたちはよく働いてくれた。

 ある日、大学生の子が「学校いきたいっす」ともらした。ガラガラの棚に缶詰を品出ししていたときのことだ。レジには、必要でも早急でもない買いものを続ける人たちが列をなしている。毎日見る光景だ。

「そうだよなぁ」自分が悪いわけでもないのに、こんな社会でごめん、と情けなくなった。

 学生の頃は、力があると思っていた。自分には何かを変える力がある、と。だが、いざ社会に出て、職に就いて、立場に立ってみれば、どうだろう。そんな力なんて、ないじゃないか。でも――。

「これ、俺が出しとくよ」大学生の子から缶づめを受けとって、商品をつめる。きっと、社会を変える力はない。でも、自分を変える力ならあるだろう。自分が変われば、身近のだれかを変えられるかもしれない。それが何かのはじまりになるかもしれない。そう信じて、今日も山積みの入荷品を前に、私は、黙々と手を動かしつづけるのだ。


(千葉県・Yー18・24歳)


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