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  • グッドニュース新聞編集部

編集後記

 東員町には、三岐(さんぎ)鉄道北勢(ほくせい)線という日本で3路線しかない、非常にめずらしいナローゲージが走っています。ナローゲージとは、線路幅のせまい鉄道のことで、762ミリ(メートル表記、省略)。線路幅にはいろいろなものがありますが、世界標準は1435ミリ。

 線路幅が、世界標準の約半分という北勢線。日本一小さくて、日本一遅くて、日本一可愛い電車が、沿線住民の足として活躍しています。

 西桑名駅から阿下喜(あげき)駅までの13駅、約20キロの距離を、50分弱で走ります。

 桑名市から東員町を通り、いなべ市へ。可愛い電車が田畑や人家の庭先を、鈴鹿山脈の絶景を遠見にかけ抜けていきます。春は花びら、秋は落ち葉舞い込むのどかな客車、夏には乗客用としてドア横にうちわが用意されます。

 小さくて遅いがゆえに、さまざまな逸話があります。「昔、やんちゃな学生たちが大勢でゆらして脱線させた」という都市伝説。「弁当を忘れた息子を自転車で追いかけて次の駅でわたした母親」「向かいに座って足がぶつかったのがきっかけで恋に落ちた若者」等々。

 ちなみに3路線のほか、「東京ディズニーランド」のウエスタンリバー鉄道もなんと762ミリのナローゲージです。あちらは1983年開業の1・6キロ。こちらは1914年開業の20・4キロですから、人気はさておき、歴史も距離も北勢線はすごいのです。

 ほかの2路線は、黒部峡谷のトロッコ電車と、四日市のあすなろう鉄道がありますが、生活圏で通常運行しているのは、あすなろう鉄道と北勢線の2つだけ。どちらも三重県北部にあるのは貴重な観光資源だと考えていますが、すべてのなかで北勢線は最も路線距離が長いので、やはり日本一のナローゲージだと自慢したいところです。

 6年前、私はこの北勢線を題材に、『ナローはつづくよどこまでも』というミュージカルを上演しました。そのときに発売していただいた記念切符は、いまも大切にしています。かつて利用者が減り、廃線になりかけたときも、自治体や地域住民の尽力で生き残った北勢線。戦時中も、桑名の空襲でさえくぐり抜けた北勢線。どうか、現在のこの国難もやり過ごし、皆を癒しながら走りつづけてほしいと願うばかりです。

 みなさま、ぜひ北勢線に乗って東員町にお越しください。

『 グッドニュース新聞』は、全国からのグッドニュースをお待ちしています。


(本紙編集長・野村幸廣・54歳)


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右:1930 年代から約60 年間活躍した車両。

左:現在の車両。(阿下喜駅で撮影)

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